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ダクト設計の基礎:等圧法・等速法・静圧再取得法の違いと使い分け

ダクトサイズの決め方には複数の手法があります。最も使われる等圧法を軸に、等速法・静圧再取得法との違いと使い分けを整理します。

最終更新:2026年6月30日・読了の目安 約9

ダクトサイズは「何を一定に保つか」で決まる

ダクトのサイズ決定とは、必要な風量を、許容できる風速・圧力損失・騒音の範囲で送れる断面を選ぶ作業です。決め方にはいくつかの流儀があり、それぞれ「経路の中で何を一定に保つか」が違います。代表的なのが等圧法(定圧法)等速法静圧再取得法の3つです。

① 等圧法(定圧法 / 等摩擦法)

単位長さあたりの摩擦損失(単位圧損、Pa/m)を経路全体で一定に保つようにダクト径を決める方法です。一般的な空調・換気ダクトで最も広く使われます。単位圧損はおおむね 1.0 Pa/m 前後を基準にすることが多く、静音性を優先するなら小さめ(太いダクト)、スペースが厳しいなら大きめに設定します。

本サイトのダクトサイズ計算は等圧法をベースに、指定した単位圧損以下になる最小サイズを総当たりで探索します。摩擦損失はダルシー・ワイスバッハ式で評価します。

Q = 風量(m³/h) ÷ 3600 (m³/s)
v = Q ÷ 断面積A
Δp = f · ρ · v² ÷ (2 · De)
単位圧損の評価(ダルシー・ワイスバッハ式)
  • vダクト内風速(m/s)
  • De等価直径(m)
  • ρ空気密度 ≒ 1.2 kg/m³
  • f摩擦係数(素材による)

② 等速法(等風速法)

経路内の風速を一定に保つようにサイズを決める方法です。風速が一定なので、ダストや油分を含む空気でも沈降・堆積しにくいのが利点。厨房排気・粉体や繊維を搬送する局所排気など、搬送速度を確保したい用途で用います。一方、分岐のたびに風速一定を保つと圧力バランスの調整が難しく、一般空調では等圧法ほど使われません。

③ 静圧再取得法

分岐や縮小で風速が下がると、動圧の一部が静圧に変換されて回復します(ベルヌーイの関係)。この静圧の回復ぶんで次区間の摩擦損失をまかなうように径を決めるのが静圧再取得法です。各吹出口の静圧をそろえやすく、大規模・高速ダクト(中・高速ダクト方式)に適します。計算は手間がかかるため、一般には等圧法で概略を決めてから要所に適用します。

推奨風速とアスペクト比の目安

サイズは圧損だけでなく騒音・占有スペースの制約も受けます。風速が高いほどダクトは細くできますが、気流音・再生騒音が増えます。低速ダクト方式での風速の一般的な目安は次のとおりです(用途・要求騒音レベルにより調整)。

区間風速の目安(低速ダクト)
主ダクト(幹線)6〜8 m/s 程度
分岐ダクト4〜6 m/s 程度
吹出口まわり2〜4 m/s 程度

静音性が要求される室では、上記よりさらに低速側にとります。

角ダクトのアスペクト比(長辺/短辺)は、扁平になるほど同じ断面積でも周長が増えて摩擦損失・板厚・製作コストが不利になります。一般に2.0 以下、できれば 1.5 程度までに抑えるのが望ましいとされます。

局部抵抗を忘れない

ここまでは直管部の摩擦損失の話です。実際のダクト系では、曲がり(エルボ)・分岐(チャンバー)・拡大縮小・ダンパ・吹出口といった局部抵抗が全圧損失の大きな割合を占めます。最終的なファン選定では、直管損失に局部抵抗と機器(コイル・フィルタ・消音器など)の損失を足し合わせた全静圧で評価します。

本サイトのダクトサイズ計算は直管部の単位圧損に基づく参考値を返します。実設計では局部抵抗・騒音・施工スペース・天井内の納まりを総合して最終サイズとファン能力を決定してください。

よくある質問

単位圧損は何 Pa/m にすればよいですか?

一般空調では 1.0 Pa/m 前後が目安です。静音性を重視するなら小さく(太いダクト)、天井内スペースが厳しいならやや大きくとります。室の要求騒音レベルと納まりのバランスで決めます。

等圧法と静圧再取得法はどう使い分けますか?

一般的な低速ダクトは等圧法で十分です。長い幹線から多数の吹出口に分配する大規模・高速ダクトでは、各吹出口の静圧をそろえやすい静圧再取得法が有利です。実務では等圧法で概略を決め、要所に静圧再取得の考え方を取り入れます。

丸ダクトと角ダクトはどちらが有利ですか?

同じ断面積なら丸ダクト(スパイラル)の方が周長が短く摩擦損失・板厚・気密の面で有利です。天井内の高さ制限などで丸が納まらない場合に角ダクトを使い、その際もアスペクト比は2.0以下に抑えるのが基本です。

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