給水設計の進め方:負荷の積算から管径選定までの全体フロー
給水設計は「どれだけ水が流れるか(負荷)」を見積もり、「その水を流せる管」を選ぶ作業です。負荷の積算から管径選定までの全体像を整理します。
最終更新:2026年6月30日・読了の目安 約8分
給水設計は「負荷の見積もり」と「管径の選定」
建物の給水設計は、突き詰めると2つの問いに答える作業です。ひとつは「その系統に、ピーク時どれだけの水が流れるか(=設計流量)」。もうひとつは「その流量を、許容できる流速・圧力損失の範囲で流すには、どの口径の管が必要か」です。前者を見誤れば断水やウォーターハンマーの原因になり、後者を過大にとればコストと施工性に跳ね返ります。
このページでは、器具のカウントから管径が決まるまでの流れを、実務で実際にたどる順番で整理します。各ステップには本サイトの計算ツールが対応しているので、手元で数値を確かめながら読み進められます。
ステップ全体像
- 器具をカウントする:対象系統に接続される衛生器具(大便器・小便器・洗面器・流しなど)を種類別に数えます。
- 設計流量を見積もる:器具の数や負荷から、ピーク時に流れる瞬時最大予想給水量(L/min)を求めます。代表的な方法が「器具給水負荷単位法(ハンター法)」と「同時使用率法」です。
- 管径を選定する:求めた流量を、許容流速・許容摩擦損失に収まる口径に当てはめます。管材料ごとに推奨径が異なります。
- 圧力を検証する:最遠・最高位の器具で必要な水圧が確保できるか、配管経路の摩擦損失・立上り高さ・器具必要圧から確認します。
設計流量を求める2つの方法
設計流量の見積もりには大きく2つの考え方があります。どちらも「全器具が同時に使われることはまずない」という前提に立ち、過大設計を避けるための手法です。
① 器具給水負荷単位法(ハンター法)
各器具に定められた器具給水負荷単位(FU:Fixture Unit)を全器具ぶん合計し、ハンターの確率曲線にあてはめて瞬時最大予想給水量を求めます。器具の種類ごとに重みづけ(洗浄弁大便器は8、洗面器は2 など)ができるため、用途が混在する建物に向きます。
② 同時使用率法
器具数に対して「同時に使われる割合(同時使用率)」を掛けて、同時使用器具数を求める簡便法です。器具数が増えるほど同時使用率は下がります。器具構成が単純な系統や、概算・チェックに向きます。
計算例:小規模トイレ系統
計算例
大便器(洗浄弁)4個・小便器2個・洗面器4個の系統を負荷単位法で見積もります。
この合計負荷単位 46 を給水量の算定式(ハンター曲線の近似式)に通すと、瞬時最大予想給水量(L/min)が得られます。続いてその流量を管径選定表にあてはめれば、系統の主管口径が決まります。
管径選定と圧力の検証
流量が決まったら管径を選びます。同じ流量でも、管の内面粗さや標準的な許容流速が違うため、塩ビライニング鋼管・硬質ポリ塩化ビニル管・ステンレス鋼管では推奨径が変わります。一般に給水主管の設計流速は1.5〜2.0 m/s 程度を上限の目安とし、これを超えると流水音やウォーターハンマー、エロージョンのリスクが高まります。
口径を仮決めしたら、最終的には圧力で裏取りします。受水槽・ポンプ・高置水槽などの給水方式に応じて、最遠・最高位の器具までの摩擦損失+立上り高さ(位置水頭)+器具の必要圧力を積み上げ、供給側の圧力でまかなえるかを確認します。まかなえなければ口径を上げる、方式を見直すといった調整に戻ります。
よくある質問
負荷単位法と同時使用率法、どちらを使えばよいですか?
用途や器具種別が混在する建物では器具給水負荷単位法(ハンター法)が、器具構成が単純な系統や概算チェックでは同時使用率法が向きます。両方で求めて大きい側を採用すれば安全側の設計になります。本サイトには両方のツールがあります。
給水の設計流速の目安は?
給水主管でおおむね 1.5〜2.0 m/s 以下が一般的な目安です。流速が大きいと流水音・ウォーターハンマー・管内面のエロージョンのリスクが増します。枝管はこれよりやや低めに抑えます。
流量だけ決めれば管径は確定しますか?
口径の一次選定はできますが、最終確定には圧力の検証が必要です。最遠・最高位の器具で必要圧力が確保できるよう、摩擦損失・位置水頭・器具必要圧を積み上げて確認します。不足すれば口径アップや給水方式の見直しを行います。