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同時使用率とは:必要な理由と、器具数による決まり方

建物の器具が全部同時に使われることは、まずありません。この「同時には使われない」を数値化したのが同時使用率です。

最終更新:2026年6月30日・読了の目安 約6

同時使用率は「過大設計を避ける」ための係数

ある系統に大便器が20個つながっていても、その20個が同じ瞬間に一斉に流れることは、現実にはほとんどありません。給水量や管径・受水槽容量を「全器具同時」で見積もると、実態に対して大きく過大になります。これを補正するのが同時使用率(%)です。器具数に同時使用率を掛けて「同時に使われる器具数(同時使用器具数)」を求め、それをもとに給水量を見込みます。

同時使用器具数 = 器具数 × 同時使用率(%) ÷ 100

器具数が増えるほど同時使用率は下がる

ポイントは、同時使用率が器具数によって変わることです。器具が2個以下なら「2個とも同時に使われ得る」として100%とみなしますが、器具数が増えるほど「全部が重なる確率」は下がり、同時使用率は単調に低下します。確率的に、母数が大きくなるほどピークの集中度が薄まるためです。

本サイトの同時使用率計算は、器具数の範囲ごとに異なる一次式(区分線形)で、大便器系・その他系それぞれの同時使用率を算出します。

計算例

器具数 n = 10 の場合(本ツールの式より):

大便器系 = −2.5 × 10 + 60 = 35 %
その他系 = −1.75 × 10 + 69 = 51.5 → 51 %(切り捨て)

器具が10個あっても、同時に使われるのは大便器系で約3.5個、その他系で約5個ぶんとして給水量を見込めばよい、と読み取れます。

大便器系とその他系の違い

同時使用率を2系統に分けるのは、器具の流量特性が大きく違うためです。

  • 大便器系洗浄弁・洗浄タンクなど、短時間に大流量が流れる器具を含む系統。ピークが鋭い。
  • その他系洗面器・流し・シャワーなど、一般の給水器具中心の系統。比較的なだらか。

系統内に大便器(特に洗浄弁)が含まれる場合は、瞬時流量が大きい大便器系の値で見るのが安全側です。

負荷単位法との関係

設計流量の見積もりには、この同時使用率法のほかに器具給水負荷単位法(ハンター法)があります。同時使用率法は「器具数」を入口にした簡便な方法、負荷単位法は「器具ごとの重み(負荷単位)」を積み上げる方法です。器具構成が単純なら同時使用率法、用途が混在するなら負荷単位法、というように使い分け、迷う場合は両方を求めて安全側を採るのが実務的です。

同時使用率は、用途・ピーク特性が特殊な建物(学校・スタジアム・劇場など、休憩時間に一斉使用されうる施設)では、別途割増・補正が必要です。算出値は参考値であり、最終判断は設計者が行ってください。

よくある質問

同時使用率が100%を超えることはありますか?

ありません。器具数が2以下のときに最大の100%(全器具が同時に使われ得る)とし、器具数が増えるほど値は下がります。割増が必要な一斉使用施設でも、同時使用率自体は100%を上限とし、別途の補正で対応します。

学校やスタジアムでもこの値をそのまま使えますか?

そのままでは危険な場合があります。休憩時間や試合のハーフタイムなど、利用が特定の時間に集中する施設では、一斉使用を想定した割増・補正が必要です。一般的なオフィスや住宅と同じ扱いにしないよう注意します。

同時使用率法と負荷単位法はどちらが正確ですか?

一概には言えません。負荷単位法は器具ごとの流量特性を重みづけできるぶん、用途混在の建物で実態に合いやすい一方、同時使用率法は器具数だけで素早く概算できます。両方で求めて大きい側を採用すれば安全側になります。

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